外部パートナーの方々に、アドバンドの印象や、他の制作会社との違いなどを語っていただきました。
参加メンバー
武政 由布子
篠崎 貴司
福井 大介
魚住 貴弘
本日は、アドバンドさん(以下AD)と取引のある外部パートナーが集まり、さまざまな角度から語り合うという企画になります。司会は私、ライターの武政が務めさせていただきます。早速ですが、まずは自己紹介からお願いできますか。
はじめまして、日経印刷の篠崎です。ADさんの担当営業になって10年、各種出版物の企画から印刷、納品まで、紙の印刷に関すること全般をサポートさせていただいています。
Web制作会社、カウントリード代表の福井と申します。ADさんはWebデザインも得意とされていますが、社内にプログラマは置かず、技術的な部分は外注しています。私は4年ほど前から主にコーディングを担当。さらに最近ではMA(マーケティング・オートメーション)という、効率的に営業活動を行うためのITツールの導入支援も行っています。
カメラマンの魚住です。代表の中野さんから初めて撮影依頼をいただいたのは2005年末のこと。当時の僕は独立1年目、中野さんもまだ起業前で、フリーランスで仕事をされていた時代からのお付き合いになります。
私はこの中では一番の新参で、社内報などのライティングを請け負うようになって3年ほど。篠崎さんと魚住さんは、創業期から10年来のお付き合いということなので、まさにADさんの成長とともに歩まれてきたことになりますね。
その通りです。私がそのことを最も実感するのは、見積りの作成依頼などでご相談いただくとき。依頼いただく案件のお取引先も中小企業が中心でしたが、徐々に誰もが知る大手企業が名を連ねるようになり、それに伴い受注額も年々大きくなっていきました。
手掛ける媒体もずいぶん変わりましたね。創業当時は学校の入学案内が多かったけれど、今は社内報や記念誌といった企業関係の出版物がメイン。Webの案件も増えてきて、5年ほど前からは、Web用動画の制作依頼もいただくようになりました。
皆さんが請け負った仕事で、印象に残っているものはありますか?
とある企業様の記念誌で、約1000人の社員さんをご紹介するという企画が持ち上がったときのことです。1000人分の顔写真と名前、所属、紹介文を手作業で配置するのはミスの元になるため、「流し込みや校正の作業を自動化できないか」とご相談を受けました。それまで制作の作業をADさんから受託したことがなく、初の試みでしたが、幸い弊社内の制作部門が同様の事例を過去に扱ったことがあり、ご要望に沿う制作の自動化プログラムを作成。とても喜んでいただけて、私も嬉しく思いました。この件に限らず、ADさんはいつも企画段階から相談してくださるので、お手伝いのし甲斐がありますね。
それは私も常々感じています。ほとんどのクライアントは受注が決まってからご相談にいらっしゃるのですが、その方法だと予算内でしか動けないので、お断りせざるを得ないこともあります。その点、ADさんは企画段階から話を通してくださるし、必要に応じて予算も確保してくれる。だから私としても、全面的にご協力できるのです。
もう一つ、印象深い事例を思い出しました。あるお客様から「表紙にブルーの箔押しを使いたい」というご注文があったのですが、ADさん側の考えは「ブルーの箔は表紙の色に合わない」でした。相談を受けた私は、お客様が求めるブルー箔と、デザイナーさんが推すツヤ消しの銀箔、そして私の個人的な提案でレインボー箔の3種類のサンプルをご用意。お客様に見ていただいた結果、デザイナーさんが推すツヤ消しの銀箔がお気に召したようで、晴れて採用となりました。ギリギリのご相談では対応できないところでした。常によりよいものを作るためにできることはないか、デザイナーさんが考えているからこそ、ご提案につながった事例ですが、デザインとマッチした箔押し加工が今でも印象に残るすばらしい冊子ができあがりました。
撮影には基本的にディレクターさんが立ち会いますが、ときには一人で現場へ行き、お客様と直接やり取りをしながら撮影に臨むこともあります。このあいだも、初対面のお客様と二人でレンタカーに乗って山奥の現場まで行ってきましたよ。
それだけ魚住さんへの信頼が厚いということでしょう。私も魚住さんとは社内報の取材で何度かご一緒していますが、カメラの技術はもちろん、被写体をリラックスさせる話術もお上手だなあと毎回感心しています。
一般の社会人や学生の方を撮るときは、コミュニケーションを取りながらじゃないといい絵になりませんから。レンタカーでご一緒したお客様からも、いろんなお話を聞けて楽しかったですよ。
皆さんは仕事柄、さまざまな制作会社とお付き合いがあるかと思いますが、ADさんが同業他社と違うと感じるのはどんなところでしょう?
一方的に要求を押し付けるのではなく、印刷会社側の都合も聞いてくださることでしょうか。下請けではなく、パートナーとして考えてくださっているのがよくわかります。
まったく同感です。お客様との打ち合わせに技術要員として同行させていただくときも、私が社外の人間であることを隠したりせず、きちんと「協力会社の福井さんです」と紹介してくださいます。それは、技術のことは社外のプロに任せて、自分たちはコンテンツで勝負するのだという自負の表れでもあるのでしょう。
ADの社員さんは、電話やメールの対応がとても丁寧ですね。撮影内容も事前に細かく教えてくれるので助かります。
レスポンスも速いと思います。原稿を送って何週間も経ってから「ここを直して」と言われると、記憶を呼び覚ますのにちょっと苦労することがありますが、ADさんは原稿チェックも迅速で、修正の必要があればすぐに連絡してくださるので、仕事がしやすいです。
私もデザイナーさんの仕事の速さには何度も助けられています。弊社の作業手配の都合で、お預かりしたデータの形式を直す必要が生じたときでも、お願いすると信じられないくらいすぐに対応してくださる。しかも、どのデザイナーさんも対応が速いんです。
人柄の良さは、社風にもあらわれていますよね。女性が多い職場は人間関係が難しいと言われることもありますが、ADさんには当てはまりません。先日、数名の女性社員さんとランチをご一緒したときも、お互いに言いたいことを言い合っている感じで、仲の良さが伝わってきました。私は一人で在宅仕事をしているので、気の置けない仲間がいるのは羨ましいです。
昨年末に送別会に呼んでいただいたときも、同僚との別れを心から惜しんでいるのが伝わってきました。昨年起業した私にとって、このハートフルな社風は、目標としたい到達点の一つです。
勉強熱心な方が多いのも特徴的ですよね。日ごろからさまざまな印刷物に目を光らせて、おもしろいものを見つけたら「次はこんな紙や加工を使ってみたい」と共有してくださる。中には私でも見たことがないような仕様の印刷物もあり、お恥ずかしながら、逆に勉強させていただくこともしばしばです。
だからこそ、パートナーにも高いレベルが求められます。「とりあえずお客様が納得すればそれでいい」では通じない。ADの社員さんからは、成果が出るものを創りたいというプロとしてのこだわりを強く感じます。
写真に関しても、デザイナーとしての矜持を感じる場面は多々あります。例えば、顧客から提供された画像データがある場合、制作会社によっては、経費削減になるからと安易に流用を決めてしまうことがあります。しかしADさんは、本当にそのデータで事足りるのかをきちんと検討し、必要があればカメラマンを入れて新規に撮影を行います。写真の重要性を理解していただけるのは本当に嬉しいですね。
ミスの少なさにも驚かされます。制作会社から納品されたデータにミスがあって出力できないというのはよくある話なのですが、ADさんにはそれがない。だからこちらも、サバを読むことなく思い切った納期をご提示できるのです。
物足りない点を一つだけ挙げるとすれば、若い社員さんがあまりカメラマン(僕)に注文をつけないことでしょうか。一回りほど年齢が違うので遠慮があるのかもしれませんが、僕としてはもっとガンガン要望を出してほしい。光や環境に制限があっても、つくりたい絵があるのなら、やれる範囲でベストを尽くします。そうじゃないと、僕も成長できませんから。
制作会社のパートナーとしてご活躍されている皆さんは、この業界の変化の激しさもよくご存じかと思います。今後、広告・クリエイティブ業界がどう変化していくのか、時代に取り残されないためには何が必要なのか、それぞれのお考えをお聞かせいただけますか。
5年前と今とでは、Webを表現するための技術もトレンドも様変わりしています。このような日進月歩の世界で生き残るためには、つねにアンテナを高く張り続ける必要があります。その点、ADの社員さんは本当に優秀で、見たことがないようなカッコいいサイトを見つけてきては「こんなサイトをつくりたい」と提案してくれる。私がトレンドに乗り遅れることなく新しい表現に挑戦できているのも、彼らのおかげだと思います。
カメラの性能が劇的に向上したことで、プロではない方でもそれなりの写真が撮れるようになりました。そうした中で、予算をかけてでもプロのカメラマンに依頼しようと思っていただくためには、技術やセンスを磨き続ける必要があると痛感しています。
プロとアマチュアの境界線があいまいになってきているのは、ライターも同じです。個人のSNSはもちろん、法人が運営するサイトでも、本職のライターを使わずに文章を作成するケースが増えているように思えます。例外は、大手企業のサイトや出版物。信頼や格式を重んじる大手企業は、今でもプロの文章を必要としているし、それは10年後も変わらないはずです。こうした大手企業をターゲットとして直取引しているからこそ、ADさんは不況下でも成長を続けてこられたのではないでしょうか。
僕は10年以上のお付き合いになりますが、リーマンショックや東日本大震災の直後は、さすがに広告物の発注を控えるクライアントが続出したようで、一時的に撮影依頼が途絶えたこともありました。ところがADさんは、仕事や顧客を失うたびに、より大きなクライアントを開拓してピンチをチャンスに変えてきた。これは本当にすごいことだと思います。
その成長を支えているのが、社員の皆さんの提案力。印刷業界にいるとよくわかるのですが、社内報などの予算は縮小傾向にあるので、「なぜこれが必要なのか」を明確に説明できなければ、すぐに廃刊に追い込まれてしまいます。一方、ADさんが手掛ける社内報は、関係者からきわめて高い評価を受けています。それはデザインだけではなく「何のための社内報なのか」を考え抜いて提案されているからなのだと思います。
最後に、ADさんへの期待や要望があれば、ぜひお聞かせください。私はといえば、僭越ではありますが、女性が長く働ける環境づくりをさらに進めてほしいと期待しています。ADさんには産休・育休の制度はあるものの、若い方が多いこともあり、取得実績はまだないと聞いています。長くお付き合いさせていただきたい社員さんばかりだからこそ、結婚・出産を経てもイキイキと活躍し続けるロールモデルの誕生を心待ちにしています。
僕は先にも申し上げた通り、若手社員さんに撮影内容についてもっと口出ししてほしいですね。お客様が保守的だと写真の撮り方もマンネリ化しがちですが、ボツを覚悟で、もっと攻めた構図を提案したっていいと思いますよ。そのポテンシャルは持っていると思います。
私は、今後さらに規模が大きくなっても、デザインへのこだわりやパートナーシップは変わらずに持ち続けてほしいと願っています。
私はいつもADさんのデザインに学ばせてもらっています。今はお仕事をいただく立場ですが、私も頑張って会社を大きくして、いつか逆にデザインを発注できるくらいになりたいと思っていますので、今後とも末永いお付き合いをお願いしたいですね。
座談会は以上で終了です。貴重なご意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。